良いパートナーとは
2019年07月05日

この続きになります。

前半は過去の苦い思い出を書き連ねていてお見苦しい文章になっているかもしれません。前半が過去のエピソード、後半がそこから得た教訓、という構成になっています。後半だけでも意味の通じる文章になっているはずですので、ドス黒い感情なぞ読みとうないという方は3/5くらいスクロールされることをオススメします。

この時の会社はNさんが代表取締役で、僕とOさんが取締役という形で立ち上がりました。 Nさんは「経営歴」みたいなものは確かにすごかったんですが、お客さん受けと言いましょうか。要はコンテンツを作るという業界内での実績には乏しくて、その時の会社は僕やOさんの信用や実績で他社からお金をもらう形で回り始めました。 今にして思うとその時点で「あれ?」ってなれば良かったんですけど、僕もOさんも雛鳥の如き素直さで「でもNさんがいなかったらこういう形に持っていけなかったよね」なんて感じで、Nさんに絶大な感謝をしながら取締役として収まったのです。

もっとサクッと書こうと思ったんですが、思いの外思い出が溢れてきて長くなりそうなので、先に要点だけ書いちゃいます。

このエピソードを通して僕が言いたいのは「誰かと起業するのなら、①本当に心がマッチする人と②一緒に死ぬつもりでやろう」ってことです。 新卒の頃、サービス立ち上げ時によく「そのサービスで死ねる?」って先輩や上司から聞かれたんですけど(その度に「さすがに死ねないなぁ」と思っていたんですけど、あれは情熱を量っていたんですね)その話に似ているというか、この気持ちで始めないといずれ会社が分裂します。 分裂する時にどちらかが潔く身を引けるのなら別にいいんですが、そうじゃないと血で血を洗う戦いに発展するでしょう。 めちゃくちゃ端的に言います。 組むべきでない人とは組んではいけません。

Nさんはちょっと特殊な人で、まぁ色々あって「あ、これ一緒にやるの無理だな」と思い至って僕は離脱しました。僕がおかしいのか、彼がおかしいのか、それは定かではありません。ここに僕が思った彼のおかしなところを書き連ねてもいいんですが、それは人情的によろしくないのでやめておきます。 ただ、彼が一つ前にやっていた会社の元副社長が、現在は業界内では有名なメディアを立ち上げて運営されているのですが、何かのインタビュー記事でNさんのことを語っていて、そのエピソードが僕がおかしいなと感じた点とほぼ同じだったので、まぁそういうことなんだなと思いました。 そして彼の腹心的な存在だった人たちも、彼に愛想を尽かして離れていっているので(という話が僕に直接くるレベルなので)まぁそういうことなんだなと、日々思っています。

離脱したものの、もうどこかの会社に勤める気持ちにもなれず、また仲間を集めなければ……と思ってしばらくは1人でやっていました。 Oさんを失った悲しみに明け暮れる日々でもありました。

そして次に組んだのは、元同僚のYでした。 5年ぐらいの付き合いで、喧嘩も多かったけど信頼している相手でした。彼は当時某社に勤務していましたが、僕が独立するという話をして「自分も独立したい」と言ってきました。 この書き方からして「あ、うまくいかなかったんだな」ってのが伝わると思いますが、そもそも僕、彼の人間性が嫌いだったんですね。 でも何故組んだのかというと、彼のゲーム作りの腕を信頼していたからなんです。あと嫌いと言いつつ、仲が良いと言えば良かった。休日に一緒に温泉行ったりもしましたしね。まぁ不思議な関係でした。仕事で知り合った人間で、彼ほど本音というか本性を吐露できた相手はいなかったかもしれません。

彼と組むという話を、お世話になっていたVC的な人に話したら「やめとけ」と言われました。人間性や考え方が経営者に向かずリスキーだと。でも僕はその時「ゲーム事業で勝つ!」って決めていたんで、そう思いますがそれでも彼の力が必要なんです。と返しました。 彼のことを知る友人や先輩にも相談しましたが、一様に「やめとけ」と言われました。でも僕は「今まで喧嘩もしてきたけどそれでも続いているし、大丈夫やろ」と判断したんです。

ただ、彼のヤバい部分っていうのはどんどん出てきました。 僕らの会社は最初、受託開発を行っていました。孫請けでやっていたので大元のクライアントの下に、もう一個クライアントがぶら下がっていました。なので僕らの直のクライアントはその間に入っていた会社です。 大手ゲーム会社→開発会社→僕ら、みたいなお金の流れです。 お金の流れ的には僕らが最下層だったんですが、発言力的には大手ゲーム会社と同じくらいのパワーを持っていました。それは打ち合わせを通してのプレゼンスだったり、僕らの実績からくる信頼があって、そういう関係を築いていきました。 で、彼の何がヤバかったのかと言うと、彼は大元のゲーム会社に、僕らのクライアントである開発会社の内情をペラペラと告げ口しまくっていたことです。 僕らはその開発会社にオフィスを間借りさせてもらっており、めちゃくちゃ面倒を見てもらうような形になっていました。オフィスが一緒なので、情報は全部筒抜けで、例えば「今回の納品はこういう形で乗り切ろう」みたいな作戦も全部共有されていたんですね。 これ自体はあんまりイケている方法というか、本質的な手段ではなかったのでそれに対する不満も少なからずあったのですが、しかし力の弱い開発会社が生き延びるためには、こういうやり方もあるんだろうなと、僕は黙って見ていました。細かい内情は省きますが。 が、Yは違いました。 「開発会社さんがこんなこと言ってますよ」と、大元のクライアントに勝手に連絡してしまったのです。そんなことが何度もありました。 これはYと、先方の窓口を担っていた人が多少仲良くなっていたこともあってのことだったのでしょうが、僕はYに対して「それはフェアじゃないから止めろ」と何度も言いました。Yの主張は「自分は良いゲームを作りたいから、それにそぐわないことはしたくない。だから止めない」の一点張りで、遂に制御できませんでしたが。 聞こえはいいんですが、これがYの厄介なところで、彼は「それっぽい理屈をつける」のが好きだったんですね。もう付き合いも長いのでそれが透けて見えていましたが、Yとしては開発会社を蹴落とすことで、大手ゲーム会社の信頼を勝ち得ていると勘違いしてしまったのです。 もしやり方が間違っていると感じるなら、僕らと開発会社との間で話し合って決着をつけるべきだったのですが、Yはそうしませんでした。 Yは「他者を蹴落として自分が上に立つ」という手段を講じる人間でした。

他にもヤバいことはたくさんありましたが、それでも僕は「自分が決めた相手だから」と我慢していました。 が、しかし「他者を蹴落として自分が上に立つ」その矛先が、遂には僕にも向いてしまったのです。

役割的には僕が渉外、彼が開発という感じで分けていました。 渉外は僕しかいなかったので、開発案件をやりながら渉外業務を続けていました。この受託だけでは間違いなくやっていけないという確信があったので、今の仕事があるうちにお金をどうにかしなければいけない。この一心でした。(現にその時受けていたゲームは、今はもうサービス終了してしまっています)

ここも色々な感情や解釈が入り乱れるので詳細は省きますが、他社員からすると僕に対して「ゲーム会社の社長がゲーム開発をしなくていいのか」という不満があったらしいです。 僕からすると「どっちでもいい」です。そういう役割というのは、状況によって変わると思います。 というか僕もゲームを作るのは好きなので、会社に100億円ぐらいあったらゲーム作りに没頭していたと思います。でも全然なかった。 火の車ではないですが、1〜2ヶ月入金がなくなったらみんなに給料が払えなくなる、そういう状態でした。 または別の誰かが渉外にあたってくれるなら、それでも良かったかもしれません。しかし僕以外の誰も、よその会社とのやり取りをまともに行うことはできませんでした。 一度Yを含めた数人を、これもまた別のゲーム会社との打ち合わせに連れて行きましたが、全員緊張していたのか何なのか、一言も喋りませんでした。助っ人で連れて行った他社の後輩の方がよほど頼りになりました。 そんな感じだったので「彼らは開発のスペシャリストだからそこだけ頑張ってもらおう」と思っていたのです。

僕が反省すべきは、それを「みんなわかってくれるだろう」と思ってしまったこと。そして「Yがちゃんとみんなを説得してくれるだろう」と思ってしまったことです。 自分の口でちゃんと自分の考えを伝えるべきでしたが、その頃にはもう雰囲気も最悪になってしまっていました。 同じ経営者で同じ目線である(と思っていた)はずのYも、社員と同じ不満を抱き、Yが社員を煽動していると気づいたのは、本当にもう手遅れになってからでした。 つくづく自分は呑気だったなというか、せめてもう1人、自分と同じような役割の者を作っておくべきでしたが、全ては後の祭り。 僕が抜けることを決めた日にYは僕に対して思うことをさも正義のようにあれやこれやと語っていましたが、それに返す気力もありませんでした。

自分の名誉のために言えば、最初の仕事は僕が獲得したものでした。 それ以外の商談も全て僕がセッティングしていましたし、その中には野良犬みたいな僕らが普通のやり方では接触できないような企業も含まれていました。 そういう営業活動を続けていた時、Yはまだ某ゲーム会社でサラリーマンをやっていました。彼がジョインしてきたのは、設立から半年以上経ったGW明けの日です。給料が払えることが確定してから、彼は経営者の片割れとしてやってきました。株の比率は50:50。 それらを許し、認めたのは僕の甘さです。

代表取締役は僕と彼の2人という組織でしたが、僕が社長でした。 彼としてはそれが最初から気に入らなかったのだと思います。確かに彼の方がゲーム作りに秀でていました。開発メンバーも、核となる人員は彼が連れてきました。(これは開発リーダーであるYがそうしたいと言ったので、チーム作りを彼に合わせたという点もありますが) ですが彼がやっているのは結局ゲーム会社で勤めていた時の業務と変わらず、お金が発生するまでジョインしてこなかったことへの覚悟の足りなさもあって、社長をやらせるワケにはいかないと思っていました。 彼はよく「社員のために自分が」と言っていましたが、社員からすると別にYが社長かどうかはどうでも良かった。それもまた先述した「それっぽい理屈」でした。 が、彼はやはり気に入らなかったのでしょう。 僕と自身のLINEでのやり取り(経営に関する口論)のスクショを他の社員に送ったり(どんな切り取り方をして伝えたのかはわかりませんけど)さんざん蹴落とそうとしてきた開発会社に対しても、僕の悪評(アイツはこの案件から抜けようとしている、みたいな内容)を伝えたりしていました。 社員全員が参加しているLINEグループで僕にクレームを入れてきたりしたこともありました。僕に至らない点があったり付け入る隙があったのはまぁ間違いないんですが、それここで言う?みたいな。 背中から撃たれまくりました。

こんなものは「いやいやお前だって」「Yだって」と言って戦うこともできたのですが、そんな泥沼合戦を演じたくはありませんでした。 クライアントからしたらそんな内ゲバを演じている会社に仕事を発注して大丈夫か?となるでしょうし、そうなって社員に迷惑がかかるのも嫌だったので。

うだうだ書いていたら止まらなくなってきた。これはヤバいですね。 そして書いてたら当時のことを思い出して辛くなってきた。記憶の底に封印しようと思っていたのに何で書いちゃったんだろう。 ここからは、僕が以後気をつけ始めたことです。

ちなみに彼の支持者はちゃんといます。彼は開発メンバー、社員からの支持はちゃんと得ていました。(儲かったらみんなのボーナスに反映するとかプレステ買ってあげるとかそんな話ばっかしていたので、ばら撒き政策みたいなもんだと思っていますが) ただVCや他社の経営レイヤーの方々からの心象はイマイチでした。何で一緒にやっているの?と何度も聞かれました。(そして僕を支持してくれている社員ももちろんいました) 別にここで誰が正しいのかみたいな話をするつもりはなく、最初に戻りますが本当に心がマッチする人と組めば良かったのです。それだけです。

やりたいことが合うかどうか、これも重要です。ですがもっと根幹の部分、価値観がどのくらい合うのかというのが大事なんです。 同じ許せるか、このどちらかでないと絶対に一緒にやっていけません。 例えば共同経営者の女癖がめちゃくちゃ悪かったとします。 それに対して「事件だけは起こさないでね」ぐらいの気持ちで看過できる人もいますし、もし「女性を軽んじるなんて言語道断!殺す!」みたいな正義感の持ち主であれば、そんな相手を信頼してやっていくのは無理でしょう。 能力の足りなさは金でカバーできますが、心はどうしようも出来ません。 根性無しのことを許せなかったらそれはもう絶対に許せないし、傲慢さを許せなかったらそれはもう絶対に許せないのです。 我慢できる、ではダメで、心の底から許せないといけません。我慢が重なるとどこかで爆発します。その時にはもう、修復不可能になっています。

この一件(というか二件)以降、僕は人選びについてとても慎重になりました。 以前までの僕は「戦闘力の高い人を集めれば最強のチームが出来る」と信じていました。自身にも「俺は強い」という傲りがあったんだと思います。 今は違います。 この人となら一緒にやれる、というフィーリングを第一に考えています。 もちろん戦闘力も大事なんですが、そしてこの点を蔑ろにしているワケでも決してないのですが、そこよりももっと食い合わせを重視しているということです。

ちょっと違いますが、元ブラジル代表のカカは、ACミランで圧倒的なパフォーマンスを見せ、その後レアル・マドリーに移籍しました。 が、期待されたほどの活躍はできませんでした。 同時に移籍したクリスティアーノ・ロナウドとどんなコンビネーションを見せてくれるんだろうとワクワクしたんですが、結局カカだけが退団してしまいました。 こんな話は珍しくなくて、移籍先で活躍できずに出戻った選手が古巣でまためちゃくちゃ活躍するなんてパターンもあります。 だから合うか合わないかなんです。 (ロナウドはマンチェスターでもレアルでもユヴェントスでもめちゃくちゃ活躍していますけど) 攻撃の選手に「とにかく点を決めてこい」と言うのか、それとも「お前も自陣まで戻って守備をしろ」と言うのか、それはチームのスタイルで、どっちが正しいということもありません。チームのスタイルに合うか合わないか、それだけです。

良いパートナーとは何か。 それは自分と食い合わせの良い相手です。足りない点を補い合えるのか、お互いに支え合えるのか、高め合えるのか、足し算ではなく掛け算の関係を築けるのか。 自分より劣っているとか優れているとか、優秀だとかそういうことではなく、ただ心から「一緒にいてくれてありがとう」と思える相手であること。それが良いパートナーの第一条件なんだと思います。

自分の戦闘力が50だとすると、自分の近くにいる人材というのは大体40〜60ぐらいであると思います。これは誰であっても、類は友を呼ぶと言いますか。凄い人の周りには凄い人が集まるのと同じに、そういうことなんだと考えています。「身近に良い人材がいないんだよね」と嘆く人は、まず自分を高めるしかないんです。 そしてその理屈で言うと、良いパートナーというのは「自分より凄すぎることもないが、明らかに話にならないくらい劣ることもない」人たちの中にいることになります。 何が言いたいのかというと、心がマッチする人を選びましょうと言いつつ、選ぶ母集団は既に能力面でのふるいにある程度かけられた状態になっているということです。 つまり「めっちゃ良い人だから組んだけど、いざ一緒に仕事してみたら全然できない人だった」ってことは基本的にはなくて、もしそうなってしまったとしたら、それが自分自身のレベルでもあるってことです。

一方で「合うと思って組んだけど全然合わなかった」というパターンって普通にあると思います。Nさんの件は正にそうでした。 これはシンプルにその人のことをよく知らないから起こるのだと思います。 特に昨今はLINEとかFacebookのおかげで、日々顔を合わせなくても、半年に1回程度しか顔を合わせていなかったとしてもとても身近にその人の存在を感じることができます。 だから知っている気になっちゃうんですが、こんなものは恋人と同じで、一緒に住んでみないとわからないことってたくさんあります。週に1〜2回のデートじゃ何もわからないんです。 昔から知っている相手だから安心だと思っていたが、実はよく知らなかった。そういうことは起こり得ます。それを見極めるには同じ時間を共有して何度も話し合うしかなくて、かつ寛容な目線で判断してはいけないのだと思います。

今現在ですが、僕の会社はほんの5人で運営していて、あとは業務提携している会社と一緒に物事を進めることがほとんどです。 前の会社は1年で20人程度になりましたが、今は1年半で5人です。特に最初の半年ぐらいはずっと1人でやっていました。 これは人選びを慎重に行っているのもありますし、僕自身がたくさんの社員に目を向けるのが苦手だということもありますし、他社と一緒に物事を行うのが好きだということもあります。ところが今のスタイルがけっこう上手くいっている気がしています。 以前めちゃくちゃ苦労していた渉外、営業も、良い縁がたくさん繋がったりして、紹介に次ぐ紹介で話が膨らんでいったり。 あまり運気みたいなものを気にする性分ではなかったのですが、良い状態の時には良い事柄が集まってきたりするのだろうか、と最近は思います。 (同時に悪い時には悪いことが重なるんだろうな、と震えてもいます)

人選びと書きましたが、これはもちろん相思相愛でなくてはいけないと思っているので、相手にも「本当に僕でいいのか真剣に考えてね」とめちゃくちゃ念押ししています。ここを出たら君はアベンジャーズだと言ったホークアイも、きっとそういう気持ちだったのではないでしょうか。 その代わり一緒にやると決めたらもう何があっても仲間だよ、と。

長くなってしまいましたが、めっちゃ当たり前の話でした。 結局は心ある人間同士なので、まずはそこが通っていないと上手くいかないんです。パートナーにおいてはその見極めができるのは最初だけなので、消去法的な意味での「この人しかいない」ではなく、運命的な意味での「この人しかいない」という目線で相棒を決めましょう。

それでは。

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